確定申告が必要になるケース|基本的な判断の流れを整理

確定申告が必要かどうかは、収入の種類と受け取り方で決まります。給与の年間収入が2,000万円を超える場合や、給与所得・退職所得以外の所得が20万円を超える場合など、給与所得者でも申告が必要になる主なケースを国税庁の情報から整理しました。20万円の基準で誤解しやすい例外や、公的年金等を受け取っている場合の判断、申告の流れと準備したい書類もあわせて解説します。申告義務がなくても、還付を受けるために申告できる場合があります。税制は改正されることがあるため、最新の内容は国税庁の公式情報でご確認ください。
Ioana Popescu 12/09/2026 17/09/2026
確定申告が必要になるケース|基本的な判断の流れを整理
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確定申告が必要かどうかは、収入の種類と受け取り方によって判断が分かれます。会社員の多くは勤務先の年末調整で所得税の精算が完了しますが、副収入がある場合や勤務先が複数ある場合には、自分で申告が必要になることがあります。逆に、申告義務はなくても、申告すれば納めすぎた税金が戻るケースもあります。本記事では国税庁の公表情報をもとに、確定申告が必要になる主なケースと判断の流れ、準備しておきたい書類の考え方を整理します。なお、本記事は制度の一般的な解説であり、個別の税務判断を示すものではありません。税制は改正されることがあるため、実際の手続きにあたっては国税庁の最新情報を確認し、判断に迷う場合は所轄の税務署や税理士にご相談ください。

確定申告は何を確定させる手続きか

所得税の確定申告は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額と、それに対する所得税等の額を計算して確定させる手続きです。給与から源泉徴収された税金や予定納税額がある場合には、この申告によって過不足を精算します。つまり確定申告は「新たに税金を課される場面」ではなく、1年分の所得と税額を正しく確定させ、納めすぎ・納め足りない分を調整する手続きだと捉えると理解しやすくなります。

申告と納付の期間は、原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までです。申告書を提出したあとに税務署から納付書が送られてくるわけではないため、納付までを自分で完了させる必要があります。納付方法には振替納税やダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付などが用意されています。

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所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算して確定させる手続です。
出典:No.2020 確定申告|国税庁

なお、確定申告をする必要がある人の一般的な考え方として、その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合で、その超える額に対する税額が、配当控除額と年末調整で控除を受けた住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人は、確定申告をする必要があるとされています。給与所得者について個別の判断基準が示されているのは、年末調整という仕組みによって多くの人の精算が勤務先で完了するためです。自分が年末調整だけで完結する立場なのか、それとも自分で申告して精算する立場なのかを最初に切り分けると、その後の判断が進めやすくなります。

給与所得者で確定申告が必要になる主なケース

大部分の給与所得者は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了するため、確定申告の必要はありません。ただし給与所得者であっても、次のいずれかに当てはまる人は原則として確定申告をしなければならないとされています(確定申告をすれば税金が還付される人を除きます)。

  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
  • 給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合に、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超える人
  • 給与を2か所以上から受けていて、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合に、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得を除く各種の所得金額との合計額が20万円を超える人
  • 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
  • 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
  • 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
  • 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人

いわゆる「副業が20万円を超えたら申告」という言い方が広まっていますが、正確には給与所得と退職所得を除いた所得金額の合計で判断します。収入金額そのものではなく、必要経費を差し引いたあとの所得金額で見る点に注意が必要です。

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たとえば給与を1か所から受けている人が、公的年金等に係る収入金額を一定額を超えて受け取っている場合には、申告が必要になる例として国税庁も挙げています。副収入がフリーマーケットの売上なのか、原稿料などの報酬なのか、あるいは不動産の賃貸によるものなのかによって所得の区分は変わり、必要経費として差し引ける範囲も変わります。まずは自分の収入がどの所得区分に当たるのかを確認し、そのうえで経費を差し引いた所得金額を計算するという順序が基本になります。

20万円の基準で誤解しやすい点

20万円という基準には、いくつか重要な例外と限定があります。まず、給与を2か所以上から受けている場合でも、給与の収入金額の合計額から所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く)を差し引いた金額が150万円以下で、かつ給与所得・退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円以下であれば、申告は不要とされています。

また、合計額に含めない所得もあります。確定申告をしないことを選択した上場株式等の配当等や非上場株式の少額配当等、特定口座の源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡による所得、確定申告をしないことを選択した特定公社債の利子、源泉分離課税とされる預貯金等の利子などは、この20万円の判定には含まれません。自分の収入がどの区分に当たるかを取り違えると判断を誤るため、源泉徴収票や取引報告書で所得の種類を確認することが大切です。

さらに、この20万円の基準はあくまで所得税の取り扱いです。所得税の確定申告が不要な場合であっても、住民税の申告が別途必要になることがあります。詳しくはお住まいの市区町村の窓口で確認してください。

もう一つ押さえておきたいのは、申告義務がない人でも確定申告書を提出できるという点です。医療費控除や寄附金控除、住宅ローン控除の初年度など、年末調整では反映されない控除を適用したい場合には、自分で申告することで納めすぎた所得税の還付を受けられることがあります。国税庁の案内でも、確定申告をすれば税金が還付される人は、申告が必要な人の条件からは除かれる扱いになっています。義務として申告しなければならないのか、それとも還付を受けるために任意で申告するのかを区別して考えると、手続きの目的がはっきりします。

公的年金等を受け取っている場合の判断

国内で公的年金等の支払を受けている人は、次のいずれにも該当する場合、所得税等の確定申告をする必要はありません。第一に、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であること。第二に、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となっていること。第三に、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であることです。

ただし、この場合も住民税の申告が必要になることがあります。また、確定申告が必要ない場合であっても、医療費控除などで所得税等の還付を受けるためには、確定申告書を提出する必要があります。申告義務がないことと、申告しても意味がないことは別だという点を押さえておきましょう。

また、公的年金等の収入金額が400万円以下という条件には注意点があります。源泉徴収を要しない公的年金等の規定の適用を受けるものは除かれ、一定の外国年金が国外で支払われる場合などには源泉徴収の対象とならないため、この判定から外れることがあります。年金以外に給与や不動産の収入がある場合は、年金に係る雑所得以外の所得金額が20万円を超えるかどうかも確認が必要です。年金を受け取りながら働いている人は、複数の条件を組み合わせて判断することになります。

所得税等の確定申告が必要ない場合であっても、住民税の申告が必要な場合があります。
出典:申告が必要かなどを調べる|確定申告特集(国税庁)

申告の流れと準備しておきたい書類

申告が必要かどうかの見当がついたら、実際の作業は「所得を把握する」「控除を確認する」「申告書を作成し提出する」「納付または還付を受ける」という流れで進みます。最初の段階でつまずかないよう、年内から手元の書類を整理しておくと負担が軽くなります。

  • 収入を示す書類:給与所得の源泉徴収票、公的年金等の源泉徴収票、報酬の支払調書や取引先からの支払明細など。
  • 必要経費がわかる書類:領収書、請求書、通帳の記録など。所得金額は収入から必要経費を差し引いて計算します。
  • 控除に関する書類:医療費の明細、生命保険料控除証明書、寄附金の受領証、社会保険料の控除証明書など。
  • 口座やマイナンバーの情報:還付金の受取口座、本人確認のための番号確認書類。

申告書の作成は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を使うと、画面の案内に沿って金額等を入力することで自宅等から作成・提出ができます。必要な付表や明細書も入力に応じて自動的に作成されるため、手書きより誤りを防ぎやすい方法です。提出先は所轄の税務署になります。

土地や建物の譲渡所得、株式等の譲渡所得がある場合などには申告書第三表を、その年の所得金額の計算上生じた損失を翌年以後に繰り越す場合などには申告書第四表を、申告書と併せて使用します。自分に必要な様式が分からない場合でも、作成コーナーで該当する所得を選んでいけば必要な書類が案内されます。マイナンバーカードとスマートフォンを使った e-Tax による提出や、マイナポータル連携による控除証明書等の自動入力にも対応しており、書類を集める手間を減らせる場合があります。

判断に迷うときの確認先

ここまで見てきたとおり、確定申告が必要かどうかは収入の種類・金額・源泉徴収の有無の組み合わせで決まり、一つの数字だけで割り切れるものではありません。自分のケースが当てはまるか判断しにくいときは、国税庁のチャットボットやタックスアンサーで該当する項目を確認したうえで、所轄の税務署や税理士に相談するのが確実です。申告漏れや納付の遅れは延滞税などの負担につながることもあるため、早めに確認しておきたいところです。

納付する税額が見込まれる場合は、その資金をあらかじめ確保しておくことも欠かせません。想定外の支出が家計を圧迫する事態を避ける考え方は、家計のトラブルを未然に防ぐ備え方でも取り上げています。また、教育費のように年単位でまとまった支出が生じるテーマについては、教育ローンと奨学金の違いを整理した解説もあわせて参考にしてください。

制度や取り扱いは改正されることがあります。本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の税務相談に代わるものではありません。最終的な判断にあたっては、必ず国税庁の公式情報で最新の内容を確認するか、税務の専門家にご相談ください。

著者について

Ioana PopescuはColorado Futureの金融分野の編集者です。クレジットカード、住宅ローン、年金、投資、家計管理などのテーマを、専門用語にたよらずわかりやすく解説しています。日本の読者に向けて、身近な例や比較するときの確認点、制度の背景を整理し、お金についての理解を深めるお手伝いをしています。

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